求人募集・採用をおこなう際に遵守すべき内容
求人募集・採用をおこなう際に遵守すべき内容等をまとめました。
記載している内容は、媒体で定めたルールではなく、法律により明示されているものです。
特に、ナイトワークや風俗系の店舗様方に関連するものを取り上げています。
※記載事項は 2026年3月現在 の各種法令に則っています※
目次
①最低賃金を下回る雇用はできません
各都道府県ごとに最低賃金(地域別最低賃金)が定められています。
最低賃金法により、雇用主は原則として、最低賃金を下回って人を雇うことはできません。
原稿作成時、記載の賃金額が最低賃金額を下回っていないかをご確認ください。
各都道府県の地域別最低賃金は、厚生労働省のHPから確認できます。
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/ (厚生労働省『最低賃金の特設サイト』)
※仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
※使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
②募集時の年齢制限について
労働施策総合推進法にて、求人募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることは禁止されています。
そのため、原則として年齢不問にて求人募集・採用しなければなりません。
※風営法で定められる18歳以上、健康増進法で定められる20歳以上など、各種法令での年齢制限がある場合を除きます。
★不当な年齢制限をおこなっていると見なされるNG例
NG例)20代歓迎
→20代を他の年齢層に比べて優遇するものであり、年齢制限をおこなっていることと同じためNG。
換言例:20代活躍中、20代活躍可能
NG例)30歳~39歳まで
→30代を他の年代に比べて優遇するものであり、年齢制限をおこなっていることと同じためNG。
換言例:30代活躍中、30代活躍可能
★例外的に年齢制限が認められるケースがあります
OK例)18歳~35歳未満 ※例外事由3号のイ
長期的なキャリア形成を目的として(主に35歳未満、またはおおむね45歳未満)を、期間の定めのない労働契約として募集・採用する場合に、年齢の上限設定が認められます。
ここでポイントとなるのは、
・期間の定めのない労働契約を前提としている
・職業経験不問とする
・新卒者以外も新卒者と同等の処遇とする
が要件になっていることです。
特に見落としがちなのが「職業経験不問」であり、例外事由3号のイにて若年層募集をおこなう場合、
・経験者歓迎/優遇
・フリーター歓迎
・○○経験があれば尚可
など、職業経験がある人を前提とした記載はNGとなります。
③受動喫煙防止のための取組の明示
2020年4月の改正健康増進法の全面施行に伴い、求人募集をおこなうすべての企業は、就業場所における受動喫煙防止のための取組を明示する必要があります。
本取組について、受動喫煙対策欄に記載をお願いいたします。
20歳未満は従業員含め、喫煙可能区域への立ち入りが禁止されているため、喫煙可能区域での就業を前提とする場合、年齢制限の下限を20歳以上とする必要があります。
★受動喫煙防止のための取組の明示例
・店内や事務所など全面喫煙可能な場合
受動喫煙対策【対策なし】を選択し、
→特記事項欄:全面喫煙可能、喫煙可能区域での業務あり
→資格欄:「20歳以上 ※喫煙可能区域での業務が必須のため」
と記載ください。
・事務所は禁煙、店内は喫煙可能で、喫煙可能区域で業務がある場合
受動喫煙対策【対策あり】を選択し、
→特記事項欄:事務所内禁煙、店内喫煙可能(喫煙可能区域での業務あり)
→資格欄:「20歳以上 ※喫煙可能区域での業務が必須のため」
と記載ください。
・事務所と店内は禁煙、店の外に喫煙所があり、喫煙可能区域での業務がない場合
受動喫煙対策【対策あり】を選択し、
→特記事項欄:事務所・店内全面禁煙、店の外に喫煙室あり(喫煙可能区域での業務なし)
→資格欄:「18歳以上」
と記載ください。
・店内や事務所など全面禁煙の場合
受動喫煙対策【対策あり】を選択し、
→特記事項欄:事務所・店内全面禁煙(喫煙可能区域での業務なし)
→資格欄:「18歳以上」
と記載ください。
④性別を限定する募集について
男女雇用機会均等法は、労働者の募集及び採用に係る性別を理由とする差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています。
★性別を理由とする差別と見なされるNG例
NG例)男性ホールスタッフ募集
→男性を女性に比べて優遇するものであり、性別を理由とする差別と見なされるためNG。
換言例:ホールスタッフ募集
NG例)キャッシャー(女性限定募集)
→男性を排除するものであり、性別を理由とする差別と見なされるためNG。
換言例:キャッシャー(女性活躍中)、キャッシャー(女性活躍可能)
NG例)女性歓迎
→女性を男性に比べて優遇するものであり、性別を理由とする差別と見なされるためNG。
換言例:女性活躍中、女性活躍可能
★例外的に性別制限が認められるケースがあります
OK例)ホストクラブのメンズキャスト
→ホスト・ホステスなど業務の性質上どちらか一方の性に従事させることが必要と認められる場合は男性/女性いずれかに限定した募集をおこなえます。
⑤求人情報の的確な表示をお願いします
2022年10月に施行された改正職業安定法では、求人企業が労働者の募集をおこなう際のルールが義務付けられました。
主なポイントとして、
・求人等の情報に関する的確な表示
・個人情報の取扱いに関すること
の2点です。
★求人等の情報に関する的確な表示
求人企業は、次の内容が義務付けられています。
・虚偽の表示・誤解を生じさせる表示はしてはなりません。
→実際の賃金よりも高額な賃金の求人を掲載することはNGです。
※虚偽の表示ではなくとも、一般的・客観的に誤解を生じさせるような表示は、「誤解を生じさせる表示」に該当します。
※応募者に誤解を与える求人表示は、職業安定法違反となるおそれがあります。特に、虚偽の広告や虚偽の条件提示と判断された場合などには、罰則の対象となる可能性があります。
・求人情報を正確・最新の内容に保たなければなりません。
→募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更しなければなりません。
★個人情報の取扱いに関すること
詳細は下記厚生労働省の資料をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000984586.pdf (厚生労働省『改正職業安定法 2022(令和4)年10月1日施行 労働者の募集ルールが変わります』)
⑥加入保険の明示が義務付けられています
改正職業安定法施行規則により、最低限明示しなければならない労働条件の1つに加入保険があります。
加入保険とは、以下4つの保険の加入状況を指します。
・雇用保険
・労災保険
・厚生年金保険
・健康保険
※実際の加入可否は、雇用形態・所定労働時間等の法定要件により異なります。
★加入保険のNG記載例
NG例)お問合せください
→実態に即した雇用保険/労災保険/厚生年金保険/健康保険の4つの保険の加入状況を記載ください。
NG例)社会保険あり
→雇用保険/労災保険/厚生年金保険/健康保険のどれが対応しているのか、範囲が不明確です。該当する保険を具体的に記載ください。
★加入保険の正しい記載例
▼4つすべて加入(例:正社員・フルタイム等)
→「社会保険完備(雇用保険/労災保険/厚生年金保険/健康保険)」と記載ください。
※「社会保険完備」は検索上よく使われる表現のため、4つ明記のうえ併記を推奨します。
▼アルバイト募集で加入が分岐する場合
→「労災保険(加入)、雇用保険/厚生年金保険/健康保険(条件を満たす場合)」など、該当する内容を記載ください。
▼雇用契約ではない業務委託募集の場合
→「適用なし(業務委託のため)」と記載ください。
⑦実在する会社名・正しい運営主体を表示しましょう
求人募集や採用活動では、実在する法人名や正しい運営主体を明確に表示することが重要です。
会社でない者が、会社であると誤認されるおそれのある名称を用いることは、会社法7条で禁止されており、また、不正の目的で他の会社と誤認されるおそれのある名称等を使用することも会社法8条で禁じられています。
さらに、求人広告では募集主の名称を正しく表示し、虚偽表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないとされています。
掲載前に、求人原稿の画像、動画、テキストのすべてで、募集主の正式名称が統一されているかを確認しましょう。
★NG例
・個人事業なのに「株式会社〇〇」と表示する
・運営会社とは別の会社名を名乗って募集する
・グループ会社を装って信用力を高く見せる
参考文献
出典:厚生労働省『公正な採用選考の基本』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省『最低賃金の特設サイト』
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省『2024(令和6)年4月1日施行 改正職業安定法施行規則 募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!』
https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省『労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A(令和7年4月1日現在)』
https://www.mhlw.go.jp/content/001474761.pdf
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『「受動喫煙防止」のための取組を明示してください』
https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001468531.pdf
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省・都道府県労働局『企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール』
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001287139.pdf
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省『改正職業安定法 2022(令和4)年10月1日施行 労働者の募集ルールが変わります』
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000984586.pdf
(参照日:2026年3月10日)
出典:厚生労働省『労働者の募集広告には、「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」の表示が必要です』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/r0604anteisokukaisei1_00006.html
(参照日:2026年3月10日)

